「草木も眠る丑三つ時」とは丑の刻を四つに分けたものの三番目の時間のことで、現在の時間に換算しますと午前2時から2時半までの間になり、文字通り全ての生命が眠りにつく時間であり、昔から化け物が現れる時間だと言われています。
丑の刻(午前1時から午前3時)に神社に参ってご神木に対して、憎い相手に見立てた藁人形を五寸釘で打ち込んで相手に呪いをかける「丑の刻参り」を行う方法は昔から知られている呪いの方法ですが、今でも丑の刻参りをしている人が居るようで、神社の樹に打ち付けられた藁人形を見かけることがあります。
白装束に身を包み、頭には鉄輪をはめてロウソク3本灯し、ご神木に向かって藁人形に五寸釘を打ち付けている光景は決して人に見られてはいけないと言われます。
丑の刻参りを7日間続けたら呪われた相手は死ぬと言われていますが、直接に相手に危害を加えることなく、憎い相手に見立てた藁人形に五寸釘を打ち込む訳ですから、この場合の藁人形は恨みと呪いの籠った人形になるのです。
丑の刻参りの藁人形に恨みや呪いがかかっているかどうかを科学的に証明することは不可能でしょうけれど、人が寝静まった時に魂を藁人形に移し替えて、釘を刺すという方法は、まさに物を利用した呪いの儀式であり、物が利用されているという意味では、私達の日常生活の中にもこのような物が潜んでいる可能性があるのです。